ハンセン病資料館でいま、何が起こっているか(1)

ハンセン病資料館問題

東京都・東村山市に「国立ハンセン病資料館」という博物館施設がある。
知っている人は知っているが、知らない人はまったく知らないと思われる。

ハンセン病資料館は、1909年に設立された国立ハンセン病療養所「多磨全生園(たまぜんしょうえん)」に隣接して建っている。ちなみにこの多磨全生園、開設当初は「全生病院(ぜんせいびょういん)」といった。ハンセン病患者を探し出してきては強制収容し、死ぬまで外に出さなかった。すぐさま命を奪うことはしないが、これでは事実上の絶滅収容所と言われてもしかたがない。「それはちょっと違う」とか「あの時代は仕方なかったのだ」とか、いろいろ言い草はあるものだが、そういう申し開きは、この際やめるべきだろう。

多くの人は遺骨になっても故郷に帰ることがかなわず、園内にある納骨堂に眠っている。今なお激しい差別・偏見が存在するためである。園内で結婚する際には男性が断種手術を受けなければならない、とする掟もあったという。妊娠してしまった場合には堕胎や胎児・嬰児殺しがおこなわれた。納骨堂の横にある小さな慰霊碑には、そんな胎児の遺骨が収められているが、この遺骨はホルマリン漬けにされた胎児標本を火葬したものである。この手の話はまだまだあって、例を挙げていったらきりがない。想像を絶する暗黒歴史の連続で、話を聞き絶句する人も多いというが、無理もないことであると思う。

このようなことが二度と繰り返されないためには差別・偏見のない社会を作らなければならない。そのことが、ひいてはすべての人の人権を守ることになるだろう。こうした思いからハンセン病資料館は作られた。回復者(ハンセン病患者で病気が治った人のことをこう呼ぶらしい)の名誉回復も大きな目的ではあるのだが、人権を守る砦という役割も無視できないものがあるのである。

先日Twitterを見ていたら、こんなTweetを目にした。差別・偏見をなくし、人権啓発をおこなう場であるハンセン病資料館でパワハラ、セクハラがおこなわれているというもの。3月10日付・赤旗の記事である。

検索してみると、同じようなポストがいくつか見つかった。

国連人権委員会で人権侵害、みたいな話である。これはいったいどうしたことであるのか。

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