全療協ニュースを読む(3)

ハンセン病資料館問題

ちょっと間が空いたが、全療協ニュースのつづき。今回は2020年2月1日号二面に掲載の記事を抜粋して紹介する。見出しは「健全な運営を目指して 資料館に労働組合誕生」とある。以下、記事概要。

・国立ハンセン病資料館及び社会交流会館棟の学芸員が昨年9月24日付で労働組合を立ち上げた
https://hansensdignity.com
(労働組合のホームページ)

・ハンセン病資料館は患者・回復者自身の手で1993(平成5)年6月に設立され、その後、国賠訴訟の結果を受けて2007(平成19)年に国立ハンセン病資料館としてリニューアルされた
・資料館が担うべき機能は7つある。収集保存・調査研究・展示・教育啓発・情報センター・管理サービス・企画調整がそれで、患者。回復者等、当事者の意向を尊重しながら目的を実現していく

前回記事でも触れたが、こうした設立当初の理念、当事者である全療協の意向が無視されたままハンセン病資料館が運営されるようになって、この記事の時点で2年が経っている。資料館の主体性が大きく毀損されているわけで、この点、全療協ニュースの指摘もかなり強い調子となっている。

「学芸部を壊して残った者は、混乱と恣意的な人事異動だけです。10年間勤務しても主任にもなれない者がいるかと思えば、就職してわずか1年で主任になったり、主任を飛び越えていきなり課長になったりする者もいる等、世の中の常識を逸脱した行為が横行しています」

「活動方針や内容もハンセン病患者・回復者の尊厳を大切にしたとはいえないものが増え、入館者数ばかりを重視したとしか思えないイベントが多くなっています」

「今の資料館は職員に対する権限と責任の所在が不明確など、働く職員にとって対等の立場で意見を述べ合う場はありません。組合結成及びこれに加入することは憲法で保障されている働く者の当然の権利です。にもかかわらず、組合員に対する嫌がらせが日常的に起こっています」

3月30日の記者会見でもセクハラ、パワハラ、組合に所属する職員に対する排除などが詳しく語られたが、この記事では資料館を立ち上げた当事者(当事者を代弁する全療協)の声すら聞き入れられない状態となっていることが明らかにされている。一方、恣意的な人事、入館者数を増やすことを目的とするイベントなどは現在も続いており、当事者との乖離はますます深まっていくばかりである。

かくしてハンセン病資料館は当事者、心ある学芸員を置き去りにしたまま、設立理念と真逆の方向に走りつづけている。いったいどこへ向かつもりなのだろうか。

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